外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「あ、すみません。またベラベラと話してしまって……」
「いえ、そんなことないですよ。むしろ初対面でいろいろ訊きすぎてしまって申し訳なかったと。それなのに、快く話してもらって」
「いえ! 私の仕事の話なんかでよければ全然!」
つい声のボリュームが上がってしまい、慌てて周囲を見回す。
周りの食事客も賑やかに歓談していて、特に自分が目立っていることもなくホッとした。
「あの、大河内さんは、モルディブのほうに来てどのくらいになるんですか?」
私の話ばかりしているのも何だから、今度は彼のことを聞いてみようと質問してみる。
外交官の仕事については全く無知。
各国の大使館に勤務して、今日の私のように困っている日本人を助けたり、国家を代表してあらゆる交渉を行ったりする仕事、というぼんやりした知識しかない。
決まった勤務地には、どのくらいの期間勤めることになるのだろう?