外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「すごいです、本当に。それを聞いて、今日の昼間のことも納得がいきました」


 英語が通じず、中国語が話せないで困っているところをスマートに助けてもらった。

 大河内さんが通りがからなかったら、あのあと私はどうなっていただろうか。


「いや、あれは運が良かっただけですよ。もし私も取得していない言語で話されていたら、仲裁に入ったところで困ったはずですから」

「いえいえ、十か国語も話せるなら無敵ですよ! 世界中の誰とでも話せちゃいそうです」


 実際そう思って言っただけなのに、大河内さんはフッと笑って「嘉門さんは面白い方ですね」なんて言う。


「あのときの方がもし韓国の方なら、話すことができたんですけど」

「韓国語は話せる?」

「はい。でも、やっぱり今後のためにも中国語は勉強したほうがいいですね」


 一時期、仕事で長期韓国に滞在することがあり、なるべく生活に困らないように韓国語を学んだ。

 その時に、中国語も利用率が高いと勉強を勧められたけど、またの機会にと先延ばしにしたままだ。

 知っていて損はないし、次に勉強するのは中国語でもいいかもしれない。

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