外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
「行きましょう」
「あ、はい」
スタッフの案内で、大河内さんと共に建物の中へ進む。すぐに下へと向かう階段が現れ、そこを下っていった。
「うわっ……ここって」
階段を下りた先に広がった景色に思わず声が漏れる。
アーチ形にガラス張りになった縦に延びる空間は、左右を見ても頭上を見ても美しい海の中に潜ったかのよう。
それはまさに、海の中をくり抜いたような光景で、様々な魚たちが優雅に泳いている姿がダイビングをしているような感覚で眺められる。
圧巻のレストラン内に呆然としているうち、席へと案内され腰を落ち着けた。
「まさか、水中レストランに来られるなんて……」
リゾートアイランド以上に訪れることはないと思っていた。それ以前に、縁が無さ過ぎて存在が頭に浮かびもしていなかった。
アーチ形をしたレストラン内は、波に揺れる海水が反射し、テーブルや床までがゆらゆらと水中にいるように見える。
「綺麗……」
幻想的な光景に呟き、無意識にバッグからカメラを取り出してハッと大河内さんに目を向けた。