外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~
今日は元々、夕方から大河内さんとの約束が入っていたから、明日スムーズにホテルを出られるように大方の帰国準備はしてきていた。
最終便の出発時刻から計算すると、スピードボードが空港に到着するのはだいたい十時過ぎ。そこからホテルまでタクシーで十分もしないだろうから、日付が変わる前にはベッドに入れるだろうと思う。
明日は朝十一時過ぎ出発の便でモルディブを発つ。
「そうですか。では、頃合いを見て出ましょう」
「そうですね」
「何にしますか? お好きなものがあれば」
お酒はなんでも飲めるし飲むほうだけど、種類に詳しいというわけだはない。
カクテルもお気に入りのものは特になく、バーテンダーのおすすめを作ってもらうことにした。
出てきたのは、逆三角形の形をしたカクテルグラスに注がれた、ブルーが綺麗なカクテル。縁にチェリーがついていて可愛い。
大河内さんはカクテルではなくブランデーを頼んでいた。