過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
伺うようにチラリと視線を上げれば、熱をはらんだ彼の瞳が絡みついてくる。
拒みたくない。違う。本当は、拒む気持ちなんて微塵もない。

小さく頷けば、拓斗は優しく抱き寄せてきた。
そのまま全身を預けると、少しだけ急いた様子で口づけてくる。

「ん……んぁ……」

侵入してきた熱い舌の動きに必死に応えようと自らも舌を絡ませながら、おいていかれないように彼の首に腕を回して縋りついた。
そうしている間に、拓斗の大きな手はパジャマの中へ侵入してくる。背中を撫でられただけだというのに、ゾクゾクとする感覚に体を震わせてしまう。

長い口づけを終えると、そっと押し倒された。欲情した拓斗の表情は女の私から見ても妖艶で、思わず見入ってしまうどだ。

再び降ってきた口づけに夢中になっているうちに、いたずらに動く手が私の身に着けているものを取り払っていく。気づけば素肌を晒していた。

体を離した拓斗を不思議に思って見上げれば、彼の熱い視線が胸元に向けられていると気づいて、思わず腕で覆った。

「全部見せて」

口調こそ優しいものの、容赦なく腕をどかした。一度経験しているとはいえ羞恥心がなくなるわけもなく、耐えきれずに目をそらした。拓斗はそんな私をなだめるように、顔中に口づけてくる。

「すごく綺麗だ」

耳もとでささやかれて、体がピクリと小さく跳ねる。それがベッドの中だけの戯れの言葉だとしても、思いを寄せる相手に言われれば嬉しくなる。
そっと伸ばされた熱い手が胸を包み込み、反応を確かめながら優しく動いていく。

「あっ……」

時折頂を掠める指に思わず甘い声が零れてしまうと、呼応するように拓斗の動きも大胆になっていく。
もっと触れて欲しい。もっと近くに来て欲しい。際限なく求めてしまうのは、相手が拓斗だからだ。

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