過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
「ええ。美香もすっかり元気を取り戻したみたいですよ」
耳に飛び込んできた自分の名前に、ドキリとした。
「俺は約束を通り、美香を迎え入れました。久々莉さんも、いい加減見切りをつけてもいいじゃないですか? 俺の方はいつでも歓迎しますよ」
約束通り? 久々莉を歓迎する?
ふたりの関係は、本当に〝知り合い〟程度のものなのか。
どことなく親密さを伺わせ言葉のやりとりに、不安な気持ちが広がっていく。
混乱する中、なんとか聞こえた言葉の端々をつなげて考えてみれば、ひとつのストーリーが見えてくる。
拓斗と久々莉は以前からの知り合いだ。それはもう疑いようがない。漏れ聞こえた会話や話している雰囲気から察するに、おそらく私と拓斗が知り合う前からだろう。
丁寧な言葉遣いで話しているが、どこか親しげな雰囲気が伝わってくる。
今の会話からして、拓斗は私を保護して守ると彼女と約束をしていたのだろうか。それを実行したのだから、久々莉も自分の元へ帰って来いと要求している。
それはデザイナーとして久々莉に帰ってきて欲しいのか、それとも……女性としてなのだろうか。
私と彼が結婚したことを久々莉に話してよいと言われた事実から考えれば、前者なのだと思う。そう捉えるのは、決して私の願望のせいだけではないはず。
確信を持って言えるのは、拓斗は久々莉を望んでいるということだ。
そのために、私を利用したのだろうか?
久々莉を呼び戻すために、私と結婚したというのか。
そんな考えまで浮かんで、慌てて首を振った。
こっそり盗み聞くような真似をなんてするんじゃなかった。これでは、拓斗の言動すべてを疑ってしまいそうだ。
これ以上聞いていられなくて急いでオフィス内に戻ると、誰にも声をかけられないように見えない壁を作って、一心不乱にスケッチブックに向かい続けた。
耳に飛び込んできた自分の名前に、ドキリとした。
「俺は約束を通り、美香を迎え入れました。久々莉さんも、いい加減見切りをつけてもいいじゃないですか? 俺の方はいつでも歓迎しますよ」
約束通り? 久々莉を歓迎する?
ふたりの関係は、本当に〝知り合い〟程度のものなのか。
どことなく親密さを伺わせ言葉のやりとりに、不安な気持ちが広がっていく。
混乱する中、なんとか聞こえた言葉の端々をつなげて考えてみれば、ひとつのストーリーが見えてくる。
拓斗と久々莉は以前からの知り合いだ。それはもう疑いようがない。漏れ聞こえた会話や話している雰囲気から察するに、おそらく私と拓斗が知り合う前からだろう。
丁寧な言葉遣いで話しているが、どこか親しげな雰囲気が伝わってくる。
今の会話からして、拓斗は私を保護して守ると彼女と約束をしていたのだろうか。それを実行したのだから、久々莉も自分の元へ帰って来いと要求している。
それはデザイナーとして久々莉に帰ってきて欲しいのか、それとも……女性としてなのだろうか。
私と彼が結婚したことを久々莉に話してよいと言われた事実から考えれば、前者なのだと思う。そう捉えるのは、決して私の願望のせいだけではないはず。
確信を持って言えるのは、拓斗は久々莉を望んでいるということだ。
そのために、私を利用したのだろうか?
久々莉を呼び戻すために、私と結婚したというのか。
そんな考えまで浮かんで、慌てて首を振った。
こっそり盗み聞くような真似をなんてするんじゃなかった。これでは、拓斗の言動すべてを疑ってしまいそうだ。
これ以上聞いていられなくて急いでオフィス内に戻ると、誰にも声をかけられないように見えない壁を作って、一心不乱にスケッチブックに向かい続けた。