過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
「久しぶりだな」
彼と最後に顔を合わせたのは、実に一年半以上前になる。
にこやかな笑みを浮かべている目の前の人物は、たしかに私の知っている朔也のようだ。けれど、そのどこか仄暗さの見え隠れする瞳を見つめていると、記憶の中の彼とはどこか結びつかず、なんだか怖くなってくる。
この人の笑顔はもっと健やかだったと思うのは、私の思い違いだろうか。
それにしても、私に散々なことをしておいて平気な顔をして近づいてくるなんて信じられない。
突然私の前に姿を現した理由は何なのかと彼の表情を注視するも、誠実さのかけらも見つけられなさそうだと感じるだけだった。
さらに何かを仕掛けてくるつもりなのかと、知らず知らずのうちに身構えてしまう。
「そんなに怯えんなって」
ずんずんと距離を縮めてくる朔也に、思わず後ずさった。
「な、何の用なの?」
「ちょっと付き合ってよ」
少々乱雑に手首を掴まれて振り払おうと腕を振っても、力で到底かなうわけがない。抵抗むなしく、引きずられるようにしてついていく形になってしまう。
思った通り、周囲に私たちの様子を気にかける人はいないようだ。
以前は、彼の裏切りが事実なのかきちんと顔を合わせて話がしたいと思っていた。
でも、もう朔也に対してそんな気持ちは少しもわいてこない。それどころか、二度と関わりたくないとすら思ってしまう。彼は私にそう思わせても仕方がないほどの仕打ちをしたのだから。
彼と最後に顔を合わせたのは、実に一年半以上前になる。
にこやかな笑みを浮かべている目の前の人物は、たしかに私の知っている朔也のようだ。けれど、そのどこか仄暗さの見え隠れする瞳を見つめていると、記憶の中の彼とはどこか結びつかず、なんだか怖くなってくる。
この人の笑顔はもっと健やかだったと思うのは、私の思い違いだろうか。
それにしても、私に散々なことをしておいて平気な顔をして近づいてくるなんて信じられない。
突然私の前に姿を現した理由は何なのかと彼の表情を注視するも、誠実さのかけらも見つけられなさそうだと感じるだけだった。
さらに何かを仕掛けてくるつもりなのかと、知らず知らずのうちに身構えてしまう。
「そんなに怯えんなって」
ずんずんと距離を縮めてくる朔也に、思わず後ずさった。
「な、何の用なの?」
「ちょっと付き合ってよ」
少々乱雑に手首を掴まれて振り払おうと腕を振っても、力で到底かなうわけがない。抵抗むなしく、引きずられるようにしてついていく形になってしまう。
思った通り、周囲に私たちの様子を気にかける人はいないようだ。
以前は、彼の裏切りが事実なのかきちんと顔を合わせて話がしたいと思っていた。
でも、もう朔也に対してそんな気持ちは少しもわいてこない。それどころか、二度と関わりたくないとすら思ってしまう。彼は私にそう思わせても仕方がないほどの仕打ちをしたのだから。