過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
真由子に促されて立ち上がると、最初に撮影を予定されている教会の入口へと向かった。
慎重に歩みを進めながら、視界に映る入り口の扉を目にしてふと思う。
これまでは客席側から憧れて見るばかりが私の視点だった。
でも、今日は違う。目の前のあの扉を開けたら、一体どんな光景が広がっているのだろうか。幸せな新婦は、そこに何を見て何に感動していたのか。そんな想像をしながら、一歩一歩近づいていく。
もう2メートルほどに近づいたところで真由子に合わせて足を止めると、控えていたスタッフが扉を開けた。
俯いていた顔をそっと上げて、視界に飛び込んできた光景にひゅっと息を呑んだ。
「美香!」
全ての動きを止めてしまった私に、満面の笑みを浮かべた拓斗が足早に近づいてくる。
彼も予定通り白い新郎の衣装を纏っている。拓斗の準備についてはあらかじめ聞いていたから知っていたけど、その後ろに見える光景はどういうことかと隣の真由子をチラリと見るも、彼女はすでにいなかった。
「美香」
再び私を呼んだ拓斗は、私の肩に手を添えて正面から見つめてくる。つま先から頭の先まで何ひとつ逃さないというように。
「綺麗だ。誰にも見せたくないぐらい」
「た、拓斗……こ、これって……」
拓斗の背後には、ル・ジャルダン・スクレの社員が全員そろっていた。そこには、さっきまで私に付き添っていた真由子も合流している。
それから、私の両親にふたりの兄とその家族。拓斗のご両親と、その横に立つ拓斗によく似た青年は、まだ顔を合わせていない弟さんだろう。そこに一緒に立つ久々莉の横には、以前の会社でお世話になった高山も寄り添っている。
慎重に歩みを進めながら、視界に映る入り口の扉を目にしてふと思う。
これまでは客席側から憧れて見るばかりが私の視点だった。
でも、今日は違う。目の前のあの扉を開けたら、一体どんな光景が広がっているのだろうか。幸せな新婦は、そこに何を見て何に感動していたのか。そんな想像をしながら、一歩一歩近づいていく。
もう2メートルほどに近づいたところで真由子に合わせて足を止めると、控えていたスタッフが扉を開けた。
俯いていた顔をそっと上げて、視界に飛び込んできた光景にひゅっと息を呑んだ。
「美香!」
全ての動きを止めてしまった私に、満面の笑みを浮かべた拓斗が足早に近づいてくる。
彼も予定通り白い新郎の衣装を纏っている。拓斗の準備についてはあらかじめ聞いていたから知っていたけど、その後ろに見える光景はどういうことかと隣の真由子をチラリと見るも、彼女はすでにいなかった。
「美香」
再び私を呼んだ拓斗は、私の肩に手を添えて正面から見つめてくる。つま先から頭の先まで何ひとつ逃さないというように。
「綺麗だ。誰にも見せたくないぐらい」
「た、拓斗……こ、これって……」
拓斗の背後には、ル・ジャルダン・スクレの社員が全員そろっていた。そこには、さっきまで私に付き添っていた真由子も合流している。
それから、私の両親にふたりの兄とその家族。拓斗のご両親と、その横に立つ拓斗によく似た青年は、まだ顔を合わせていない弟さんだろう。そこに一緒に立つ久々莉の横には、以前の会社でお世話になった高山も寄り添っている。