過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
「理解が追いつかない、かな?」

あまりに驚いて言葉が出てこず、コクコクと首を縦に振った。

「だから先に話しておくように言ったでしょ? 拓斗君は女心がわかってないんだから」

説教でもしそうな、けれど慈しみを感じる口調でそう言いながら久々莉が近づいてくる。
拓斗はいかにも渋々という感じで脇にどくと、私の正面を久々莉に譲った。ふたりの言動に、本当に姉弟なのだと自然に納得した。

「はい、野々原さん……じゃなかったわね。はい、美香さん。新しくできた私の義妹へ」

手渡されたのは、ヘッドドレスとおそろいになっている青系の花が使われたブーケだ。

「私からはこれよ。サムシングブルー。ヘッドドレスと合わせて、私が用意したの。それから、今付けているアクセサリーは神山のお義母さんのものよ。サムシングオールド! もちろんドレスがサムシングニューね」

にっこりとほほ笑む久々莉を呆然と見つめた。

「あらためて。美香さん、結婚おめでとう」

久々莉その言葉を合図に、後ろに控えているみんなからも一斉に祝福の言葉が飛び交い、拍手に包まれる。

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