過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
番外編 彼女の知らない話 SIDE 拓斗
やっと手に入れられた。
美香へサプライズで企画した結婚式は、彼女自身だけでなく、親族や関係者も喜んでもらえるものとなった。
約束通り、帰宅後にしっかりとお礼を受け取った今、美香は疲れてすっかり寝入っている。自分の腕の中で眠る愛しい妻の額に口づけ、その髪に指を滑らせた。
美香を初めて見かけたのは、数年前のことだ。義姉である久々莉に会いに行った先に、彼女はいた。
駆け出しのデザイナーである美香は、いつ見かけても忙しそうに動き回っていた。仕事に対して熱心な人だと思ったのが最初の印象だ。
「野々原さんっていってね、本当にいい子なのよ。雑用を回さざるを得ない時もあるけど、嫌な顔ひとつせずに引き受けてくれるの。それに、彼女のデザインがいいのよねぇ」
そう言って見せられた彼女の手がけたウエディングドレスは、豪華さや派手さはそれほどないものの、優しげで温かなものばかりだった。
義姉のデザインする華やかなものとは違う雰囲気で、それが彼女のデザインの魅力でもあると思った。
そのひたむきな美香の姿に自分が惹かれていると気づくのに、それほど時間はかからなかった。
一心にデザインと向き合う美香の姿はとにかく綺麗で、かっこよくすら思えた。
察しのよい義姉には、俺の気持ちなどすぐにばれて何かとからかわれもした。
だが、残念ながら彼女には付き合っている男がいるという。
彼女が幸せなら、邪魔などできない。そう聞き分けのよいことを言いつつ、見かければ目で追ってしまうという日々が続いていた。
美香へサプライズで企画した結婚式は、彼女自身だけでなく、親族や関係者も喜んでもらえるものとなった。
約束通り、帰宅後にしっかりとお礼を受け取った今、美香は疲れてすっかり寝入っている。自分の腕の中で眠る愛しい妻の額に口づけ、その髪に指を滑らせた。
美香を初めて見かけたのは、数年前のことだ。義姉である久々莉に会いに行った先に、彼女はいた。
駆け出しのデザイナーである美香は、いつ見かけても忙しそうに動き回っていた。仕事に対して熱心な人だと思ったのが最初の印象だ。
「野々原さんっていってね、本当にいい子なのよ。雑用を回さざるを得ない時もあるけど、嫌な顔ひとつせずに引き受けてくれるの。それに、彼女のデザインがいいのよねぇ」
そう言って見せられた彼女の手がけたウエディングドレスは、豪華さや派手さはそれほどないものの、優しげで温かなものばかりだった。
義姉のデザインする華やかなものとは違う雰囲気で、それが彼女のデザインの魅力でもあると思った。
そのひたむきな美香の姿に自分が惹かれていると気づくのに、それほど時間はかからなかった。
一心にデザインと向き合う美香の姿はとにかく綺麗で、かっこよくすら思えた。
察しのよい義姉には、俺の気持ちなどすぐにばれて何かとからかわれもした。
だが、残念ながら彼女には付き合っている男がいるという。
彼女が幸せなら、邪魔などできない。そう聞き分けのよいことを言いつつ、見かければ目で追ってしまうという日々が続いていた。