過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
「ちょ、ちょっとどういうことですか?」
外へ出て数歩進んだところで足を止めた。状況が理解できずに、思わず大きな声を上げてしまう。
「すまないが、他人の目のあるところは避けたい。時間までに戻るからついてきて欲しい」
たしかに路上で言い合うわけにもいかず、渋々従った。
連れていかれたのは、職場からさほど遠くないレストランだった。一般大衆向けというよりは少しばかり畏まった店だ。
迷わずここへたどり着いた様子からしたら、彼はこの近辺に詳しそうだ。あのバーにも来店してたぐらいだし、少しは知識があるのだろう。
出迎えた店員と小声でやりとりした拓斗は、話がまとまったのかにこやかな表情で相手に何かを握らせた。おそらくチップだろうが、この国でそれを払うことはまずないはず。
けれども、直後に案内された個室を見て納得した。事前に予約しないと使えないような部屋なのだろう。無理を通したに違いない。
私たちの会話が日本語だとはいえ、彼はやりとりを誰かに聞かれる可能性を排除しておきたいようだ。
あらためて向かい合わせに席に着くと、途端に緊張が増してきた。
明るい場所で正面から見る拓斗は、記憶に残っていた通り整った容姿をしていた。スマートに着こなしているこのスリーピースのスーツは、おそらくオーダーメイドだろう。かなり良いものであると、一目でわかる。
あの夜、酔っていたとはいえずいぶんと大胆になっていたものだと、今さらながらに思う。
目の前にいるこの男性と肌を重ねたと思うと、徐々に頬が火照ってしまう。それを見られたくなくて、失礼だとわかっていてもどうしても俯きがちになった。
外へ出て数歩進んだところで足を止めた。状況が理解できずに、思わず大きな声を上げてしまう。
「すまないが、他人の目のあるところは避けたい。時間までに戻るからついてきて欲しい」
たしかに路上で言い合うわけにもいかず、渋々従った。
連れていかれたのは、職場からさほど遠くないレストランだった。一般大衆向けというよりは少しばかり畏まった店だ。
迷わずここへたどり着いた様子からしたら、彼はこの近辺に詳しそうだ。あのバーにも来店してたぐらいだし、少しは知識があるのだろう。
出迎えた店員と小声でやりとりした拓斗は、話がまとまったのかにこやかな表情で相手に何かを握らせた。おそらくチップだろうが、この国でそれを払うことはまずないはず。
けれども、直後に案内された個室を見て納得した。事前に予約しないと使えないような部屋なのだろう。無理を通したに違いない。
私たちの会話が日本語だとはいえ、彼はやりとりを誰かに聞かれる可能性を排除しておきたいようだ。
あらためて向かい合わせに席に着くと、途端に緊張が増してきた。
明るい場所で正面から見る拓斗は、記憶に残っていた通り整った容姿をしていた。スマートに着こなしているこのスリーピースのスーツは、おそらくオーダーメイドだろう。かなり良いものであると、一目でわかる。
あの夜、酔っていたとはいえずいぶんと大胆になっていたものだと、今さらながらに思う。
目の前にいるこの男性と肌を重ねたと思うと、徐々に頬が火照ってしまう。それを見られたくなくて、失礼だとわかっていてもどうしても俯きがちになった。