過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
『大事にしたくないと言ってくださったのは幸いです。他に漏らさないことを条件に桐嶋さんが話してくれましたよ。野々原さん、以前から彼に付きまとい行為をしていたんですって?』
「え……」
『彼、三崎グループのお嬢さんと結婚が決まったものの、お相手からあなたの存在について聞かれたそうよ。未だに付き合いはあるのかどうかって』

私たちの付き合いは、互いの会社に話していたわけではない。共通の知人でそれを知っているのは久々莉ぐらいだ。それも偶然一緒にいるところを目撃されたからに過ぎない。

『桐嶋さん曰く、仕事にかこつけて野々原さんが何かと付きまとっていたと』
「そんな……」

朔也がうそをついた? ともかく、内容的に質が悪すぎる。

まるで私との付き合いをないものにしたかのような朔也の言動に、愕然とした。私たちの約三年間をなかったものにするどころか、私の一方的な迷惑行為であったかのような言い分だ。
あの常に笑顔を絶やさない朔也が、事実に反する内容を、しかも会社にクレームとして入れるなどにわかに信じられない。

「付きまとってなんて……」
『とにかく、あちらはそう言ってるんです。とりあえず野々原さんは、今後いっさいエテルナに関わらないでください。あそことの提携が解消されるのは困りますから。一度帰国して、今後について話し合う必要がありますね。時期は後ほどこちらから連絡します』
「わかり、ました」

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