過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
「いいのか?」
あれだけぐいぐい来ていた拓斗が遠慮している姿は、なんだか新鮮だ。
「どうぞ」
この部屋にはソファーなんて優雅なものはない。彼には申し訳ないが、日頃から私の使っているダイニングテーブルに案内した。
出したままだったスケッチブックを素早くどけて、とりあえずコーヒーを淹れて向かいに座る。
ひと口飲んだ彼は、おもむろに言った。
「大体の話は把握している」
「……もう。それ、本当にストーカー並みですって」
怖いと思うより、やっぱりなと思わず笑い声を上げてしまった。自分が少々投げやりになっている自覚はあるけれど、こうして笑えるのはよい傾向なのかもしれない。
「まあ、それでもいいか。俺は美香限定のストーカーだな」
彼の方も私の心情を察したのだろう。深刻そうな表情を少しだけ崩した。
あまりにもおかしな彼の返しに、思わず意地悪に言う。
「ストーカーとはそういうものですよ。恋多きストーカーとか、聞いたことないですから」
拓斗が来てくれたおかげで、さっきまでの淀んでいた気持ちが晴れていく。それはきっとこの人の持つ雰囲気と、たしかに私を気遣ってくれていると伝わってくるからなのだろう。ますます彼に対する警戒心は低くなっていくようだ。
あれだけぐいぐい来ていた拓斗が遠慮している姿は、なんだか新鮮だ。
「どうぞ」
この部屋にはソファーなんて優雅なものはない。彼には申し訳ないが、日頃から私の使っているダイニングテーブルに案内した。
出したままだったスケッチブックを素早くどけて、とりあえずコーヒーを淹れて向かいに座る。
ひと口飲んだ彼は、おもむろに言った。
「大体の話は把握している」
「……もう。それ、本当にストーカー並みですって」
怖いと思うより、やっぱりなと思わず笑い声を上げてしまった。自分が少々投げやりになっている自覚はあるけれど、こうして笑えるのはよい傾向なのかもしれない。
「まあ、それでもいいか。俺は美香限定のストーカーだな」
彼の方も私の心情を察したのだろう。深刻そうな表情を少しだけ崩した。
あまりにもおかしな彼の返しに、思わず意地悪に言う。
「ストーカーとはそういうものですよ。恋多きストーカーとか、聞いたことないですから」
拓斗が来てくれたおかげで、さっきまでの淀んでいた気持ちが晴れていく。それはきっとこの人の持つ雰囲気と、たしかに私を気遣ってくれていると伝わってくるからなのだろう。ますます彼に対する警戒心は低くなっていくようだ。