過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
帰国から五日目の今朝。拓斗は今日から会社へ出社する。そんな彼を見送るために、玄関まで一緒についていった。

「美香を、全ての煩わしいものから遠ざけるから」

靴を履き終えて振り返った拓斗は、私の頬に手を添えながら真剣な表情であらためてそう宣言した。

「美香は、少し心を休めた方がいい。ゆっくり過ごしてていいから。その間に、俺がきっちりと片をつけてくる」

私を安心させるようにぎゅっと抱きしめると、額に優しいキスを落とした拓斗は颯爽と出ていった。

彼の言う通り、目まぐるしく状況や環境が変わって正直疲弊していた。ここ数日間は、拓斗がずっと一緒にいてくれたから落ち着いていられたけれど、こうして離れた途端に心細くなってしまう。

パタリと閉じた扉にどこか寂しさを感じしまうのは、私が彼に依存している証拠だろうか。
お荷物にはなりたくない。せめて家事ぐらいは完ぺきにしようと、沈んだ気持ちをまぎらわすように動き出した。

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