過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
久々莉には事前に、フェリーチェを辞めて拓斗と結婚する予定だと明かしていた。その際、『桐嶋君への当てつけじゃないのね?』と何度も確認されたが、拓斗との結婚は決してそんなつもりはない。

たしかに、私たちの間に愛しているという言葉があったわけではない。それに、恋愛という意味では気持ちが通い合っているわけでもない。

それでも私は拓斗なら信用できると感じ、結婚とその引き換えの話を受けてもかまわないと思えたのだ。そこに朔也に対してどうこうしようという思惑などいっさいない。

久々莉からこんなメールが来たぐらいだ。もしかして拓斗は、話してくれた以上に何かをしてきたのかもしれない。かなり怒っていたし、私を守るためにも少々過剰な言動をした可能性も否定できない。

とりあえず、元上司は私たちを好意的に受け止めてくれているようだというところで納得しておこう。
そのときの状況など尋ねようものなら、もしかして悶え死んでしまうんじゃないかと羞恥で体をぶるりと震わせた。

< 96 / 187 >

この作品をシェア

pagetop