滲み出る虹
「奈々って兄弟とかいるの?」
涼は爽やかな表情で聞く。

「……兄弟はいません…でも、兄弟のような人たちはいます…」
静かに、そして淡々と奈々は答えた。


「そっか、楽しくやってるの?」


「うん……」
コクリと頷きながら奈々は小さく言った。


涼は少し安心した。奈々という少女はもともと表情がかたい。何か辛いことがあっても隠し通そうとするだろう。それが嘘だったとしてもその一言で安心できた。



「今日は…その…随分自分のことをお話できました。こんなことは生まれてはじめてです。嬉しかったです」

そう言うと奈々はこの日初めての笑顔を作る。それは殺人的なかわいさを持っていた。涼は見とれていた。

「また、…こうやってお話したいです。涼くんといると…その…私のことを…もっと知ってもらいたいの…」

「いいよ、またこうやって話しようよ」
すかさず涼は言う。少しでも時間をあけたらいけない気がした。


奈々は続ける。
「でも…………」
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