滲み出る虹
その日、涼はいつもと違うコースを歩くことにした。そこは人通りの少ない静かな丘。幼いころはよく行ったことがあったのだが最近はめっきり行かなかった。

「久しぶりに読書でも楽しむとしよう」
そう考えると自然と歩く速度があがった。


丘に着くとそこは幼いころと全く同じだった。人気がなく静か。しかし、不思議と寂しくはないし、落ち着く。頬にあたるぬるい風が懐かしく、気持ち良い。涼は感傷に浸りながらも丘に腰を下ろし、本を開いた。
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