滲み出る虹
丘はやっぱり人気がなくて、やっぱり静かで、やっぱり落ち着いた。ここで食べるご飯は格別だった。


「さて、続き続きっと」
再び本を開く。一時間ほどで先ほどの一冊を読み終えた。

「何冊か持って来て正解だったな」
そんなことをふと思って二冊目の本を開く。こちらはなんのことはない今流行のコミックだった。

コミックの細々した絵のせいか、それともこの丘の魔力のせいか、気付けば涼は眠っていた。ここでの眠りは本当に心地良かったし、疲れもとれた。涼はこの場所がとても好きになった。景色も匂いも風も音も全て合わせて。そこにいつも奈々がいれば申し分ないなとほんのちょっとだけ思った。そう思って照れる夢だった。
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