滲み出る虹
丘はあいかわらずだった。夏なのにひんやりとした。やっぱりこの場所が好きだと改めて思った。


涼はアイスキャンディーの棒をまだ咥えながらベンチに座る。ここへ来て夜あまり眠れていないこと、自分がまだ眠たいのだということを思い出した。

「ふわぁぁぁっ」
大きな欠伸がもれる。ここでは学校などとは違って誰も起こしてきたりはしない。むしろ風や木々は歓迎ムードだ。


「少し寝るかな」
しばらくすると涼は寝息をたてていた。どんな夢を見ているのかはわからないが、表情はやわらかかった。
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