もっと俺を欲しがって?
神子戸様はゆっくりと視線をスマホから私に向けて
また、ぱちり、と瞬きをした。
ほんとに瞳の色素が薄い。
どこか儚げで――
「は?」
ミステリアスな、少しだけ緑がかった、茶色。
「かのじょ?」
神子戸様は、まるで初めて使う言葉みたいに、どこかたどたどしくそう言って、首を傾げる。
「えっ、違うのですか!?」
裸の付き合い(脱いでたのは女子だけだけど)してたのに!?
「てか、なにそれ。たべれんの?」
もっもしやっ!!“彼女”の意味を分かっていないの!?
「だっ、かっ彼女っていうのはアレですよ!お互いで好きで、チューとかギューとかする…!!」
ってあああア!
我ながら説明が下手すぎるううう!!
内心頭を抱える私の前で、「ちゅー、ぎゅー?」と神子戸様がやはり、初めて使う言葉みたいに繰り返す。
「よくわかんないけど。
さっきの女?べつにぜんぜん好きじゃないけど」