もっと俺を欲しがって?
「え?」
神子戸様がなぜか驚いたように瞬きをひとつして。
「あ、ほんとだー」
「ほんとだーって…」
すごく他人事だなあ。
「たしかに、俺、きみのことは誰かわかるよ」
神子戸様が立ち上がって、どこかだるそうに私の目の前まで歩いて、立ち止まる。
「にんげんで、おんなで、小柴ゆあ。いちごくっきーがすき。あってる?」
「い、いちごクッキーのこと、覚えててくれたんですね…!」
つい今日の昼間のことだけど、きっと神子戸様にとっては取るに足らないことだから、覚えててくれたことに嬉しくてほっぺがジンと熱くなる。
そんな私のほっぺを
神子戸様が手の甲で、撫でるように触れた。
「…ふ」
そして、笑みをひとつ零すと
「やわらかいね、小柴ゆあ。おぼえた」