もっと俺を欲しがって?





「…………」


「…………」




クッキーを黙ってモグモグする神子戸様とそれをガン見する私の間を、一陣の風が吹き抜けていった。




「お、お口にあいましたでしょーか…?」





神子戸様がクッキーを飲み込んだ頃合いを見計らい、そう聞くと





「……ん」





それまで1ミリも表情を変えることのなかった神子戸様の顔が




わずかにほころんで。





「おいしー」





まるで花が咲いたみたいに、微笑んだ。





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