もっと俺を欲しがって?





「……あ。歩けるよーになったかも」





ドキュンッ!!!と心臓を100本くらいの矢に撃ち抜かれた私のことなど知る由もなく





すぐに無表情に戻った神子戸様が立ち上がる。





そして数歩歩いたところで立ち止まり





「そーだ」





思い出したように振り向いた。






「きみ、名前なんてーの?」




「…え…え!?私の名前!?ですか!?」




「きみ以外に誰がいるの?」





コテンッと首をかしげる神子戸様に今度は1000本の矢で心臓を撃ち抜かれる。





「こ、小柴有愛(こしばゆあ)、ですっ…」




「…へえ、わかった」





くるり、と神子戸様は背を向けると




まるで何事もなかったように、中庭の奥に向かって歩いていった。





< 9 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop