もっと俺を欲しがって?
「……あ。歩けるよーになったかも」
ドキュンッ!!!と心臓を100本くらいの矢に撃ち抜かれた私のことなど知る由もなく
すぐに無表情に戻った神子戸様が立ち上がる。
そして数歩歩いたところで立ち止まり
「そーだ」
思い出したように振り向いた。
「きみ、名前なんてーの?」
「…え…え!?私の名前!?ですか!?」
「きみ以外に誰がいるの?」
コテンッと首をかしげる神子戸様に今度は1000本の矢で心臓を撃ち抜かれる。
「こ、小柴有愛、ですっ…」
「…へえ、わかった」
くるり、と神子戸様は背を向けると
まるで何事もなかったように、中庭の奥に向かって歩いていった。