【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
足りない゙何がを導き出した時。
「おはようございます」
「天野川さん、おはようございます」
翌朝、スリーデイズの開発室に出社すると、すでに片山さんが出社していた。
「片山さん、今日も早いんですね」
「ちょっと気合入ってるの。早く完成させたくて」
「わたしもです。 すごくワクワクしてるんです」
片山さんとわたしは、早速昨日の続きを始めるため早速パイ生地の制作から始めた。
「このパイ生地がこんなに美味しくなる日が来るなんて、思ってなかったですわたし」
パイ生地を作る片山さんの隣で、わたしはリンゴを煮詰めていた。
「本当よね。 改良に改良を重ねれば、生地だってこんなに美味しくなるのよね。 これなら美味しいアップルパイになること、間違いないわ」
「そうですね」
大翔さんのアドバイスを元に始めたリンゴの中身を、今日はさらに改良するための手を考えることにした。
「ジョナゴールドとの相性はどれもいいと思うんです。 王林もシナノスイートも紅玉も、全部捨てがたいです」
「そうなのよね。 相性で言うと一番いいのは、紅玉なのよね」
「はい。 昨日言ってたその足りない何かを考えたんですけど……思いつかなくて」
結局なにが足りないのかがわからないままなのだけど、一つだけ足りないのか、そうじゃないのか……。
「ねえ、天野川さん」
「はい?」
わたしは鍋にかけていたコンロの火を消した。