【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
「天野川さんが食べたアップルパイの中で、本当に美味しかったアップルパイってある?」
「本当に美味しかったアップルパイ、ですか?」
確かにたくさんのスイーツを食べてきた。アップルパイもたくさん食べてきたけど、その中で美味しかったアップルパイのお店は何件かある。
「どう? ある?」
「あるには、ありますけど」
「そこのお店のアップルパイの特徴って、何か覚えてない?」
そのお店のアップルパイの特徴……か。 確かに前に食べたアップルパイは美味しかった。
サクサクのパイ生地に少し酸味の効いたリンゴが大きめに乗っていて、ゴロッとしたリンゴだった記憶がある。
「確か……味に少し特徴があったと思います。 そこのアップルパイ、リンゴがゴロッとしてて少し大きめなんですけどね。甘いというよりは少し酸味が効いたリンゴで、シナモンは少しだけ控えめなんですけど、さっぱりした味だった気がします」
「さっぱり……」
あのさっぱりとした味は、あまり食べたことのないアップルパイの味だった記憶があって、当時のわたしは衝撃だった。
「確かにそこのお店は……さっぱりした感じを出すために、少しだけヨーグルトを入れてると言っていました」
「ヨーグルトか。……なるほど。ヨーグルトで酸味をプラスして、さっぱりした味わいにしてるのね」
「はい。どちらかと言うと、大人向けの味ですけど」
「なるほど。ヨーグルト……」