【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


「うん……美味しい」

 確かにバニラエッセンスを足しただけなのに高級感が増してる気がする。 リンゴの甘酸っぱい香りの奥に感じるバニラの程よい甘い香りが鼻を抜けることで、アップルパイの深みをより出してくれそう。

「なにこれ、美味しいわ」

「美味しいです。シャキシャキのリンゴとトロトロのリンゴの滑らかな舌触りの中に、ちゃんとバニラを感じます」

 すごいな。バニラエッセンスを少し足すだけで、こんなに美味しいの?
 華やかな香りが奥に感じるのに、甘すぎないちょうどいい酸味の具合にトロトロのリンゴの滑らかさが絶妙にマッチしている。

「そうね。バニラがいい仕事してる気がする」

「これ、バニラエッセンス入れるだけでこんなに美味しくなるものなんですね」
 
「バニラのほんのり香るこの甘い香りは、パイ生地のバターとも相性が良さそうね」

 確かにパイ生地にたっぷりバターを使ってるから、口に入れた時のサクサク感の奥に感じるバターの風味が、バニラの香りともよく合いそうだ。

「あの、片山さん」

「ん?」

「提案なんですけど、パイ生地の方にも少しバニラエッセンスを足してみるというのはどうですか?」

「え? パイ生地にも?」

「はい」

 パイ生地にバニラエッセンスを少量足すだけでも、さらに美味しくなりそう。 
 バターの香りの中にふんわり香るバニラの香りをプラスするだけで、もっといい生地になりそうだ。
< 111 / 198 >

この作品をシェア

pagetop