【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
スリーデイズのスイーツが生んだ奇跡
片山さんは「そうね。わたしたちの力、世間のみんなに見せつけてあげましょうね」と微笑んだ。
「はい」
大翔さんはこのアップルパイを、看板スイーツにしたいと言っていた。 スリーデイズのスイーツ部門が手がける、最高のアップルパイを売り出したい。
そんな想いで、わたしたちは頑張っている。大翔さんという副社長の期待を背負っている。
「みんな、まだまだこれからよ。気合入れていくわよ!」
「はい!」
このアップルパイを完成させるまでには、紆余曲折があった。 スリーデイズが初めて手がけるスイーツ部門のアップルパイは、わたしの意見から始まった。
母のアップルパイを、最初は再現したいという想いから始まったこのプロジェクトだった。
わたしはそこに呼ばれ、今は一開発員としてこのアップルパイ作りに携わっている。
それだけじゃない。アップルパイ以外にもたくさんのスイーツを開発しなければならない開発室の皆さんは、日々他のスイーツも開発してくれている。
アップルパイはその開発の集大成とも言える大きなプロジェクトだ。
二十歳の新人の小野さんは、他のスイーツの開発のために今は抜けてしまっているが、時折様子を見に来てくれている。
アップルパイの生地も改良した甲斐があり、生地が包み込んでくれるこの爽やかで甘酸っぱいリンゴを後は完成させるだけだ。
完成はもう時期だ。もう少しで、最高のアップルパイが作れる。