【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
「出来たわ。みんな、試食してみて」
「はい」
日々研究を重ねている中でも、その日の気温や温度によって微妙に香りが変わってしまうこともあるが、基本は出来ている。
「うん、すごく美味しくなってる」
「前より格段に美味しくなってます。……リンゴの爽やかな酸味と優しい甘み、そして鼻から抜けるバニラの香り。これはまさかに王道の上を行くアップルパイです。 専門店にも負けてないくらい、本格的なアップルパイになってます」
開発部のみんながこうして協力してくれるおかげで、美味しいアップルパイが出来ている。
「やっぱりでも、この生地が最高ですね。バターの風味が口いっぱいに広がるのに、奥ゆかしいバニラの香りが後から抜けてきて優しい味わいになってますよね」
「生地にバニラエッセンスを加えてるから、味だけじゃなくて香りも楽しめるしね。最初に来るバターの香りの後にふわりと香るバニラの香り。最後にリンゴの甘酸っぱい香りが、食欲をそそられる気がします」
開発部のみんなの意見がまとまっていく中で、わたしたちは今最高のアップルパイを作っているという事実が嬉しかった。
みんなに美味しい食べてもらいたいという一心で、毎日アップルパイを作り改良を進めている。
「完成までもう一息ね。……ところでプリンの発売はもうすぐだっけ?」
「はい。もう間もなくです。三日後には全国のスーパーやコンビニなどの店頭に並びます」