【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
「大翔さん、もう寝ましょう」
「そうだな。……もう寝よう」
「うん」
二人で手を繋いで寝室へと向かった。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
大翔さんの隣で抱きしめられながら眠りに付くと、わたしは落ち着いたのか心地よい眠りに落ちていた。
* * *
「じゃあリーダー、食べてみて」
「……はい」
いよいよアップルパイが完成に近づいた。あの後も改良に改良を重ねて、今回のが一番いいアップルパイになった。
リンゴの改良から生地の改良まで、とことんこだわって改良した。その結果、最後に美味しいアップルパイが出来たと思う。
これなら誰にでも食べて喜んでもらえる、そんなアップルパイが出来た。
焼きたてのアップルパイにフォークを刺すと、サクサクッという音がする。
そこから香っているバターの香り、そしてほんのり甘いバニラの香りが欲を掻き立てる。
「……いただきます」
アップルパイを一口口にすると、すぐにリンゴのシャキシャキ感とトロッとした滑らかな舌触りが口の中に広がった。
「どう?リーダー?」
わたしはそれを一口食べて、思わず涙が溢れた。
「えっ!天野川さん!? どうしたの!?」
片山さんがビックリしたような表情を浮かべていた。
「……美味しいです。 すごく……美味しいです」
今まで食べたアップルパイの中で、ダントツに一番美味しい。