【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
まさかこのアップルパイを買うのに、整理券が必要だなんて……。さすがオガタ・カナデの店だ。
限定個数のためお一人様二個までという販売個数を設けるところもさすがだ。 これぞオガタ・カナデの戦略なのだろうか。
「緊張してるのか?由紀乃」
「うん……なんか緊張しちゃって、お腹痛くなりそうだよ」
緊張して顔が強張るわたしに、大翔さんは「大丈夫だ、由紀乃。必ず成功するさ」とわたしの手を握ってくれる。
「うん。……ありがとう」
大翔さんがそばにいてくれるだけで、なんでこんなに心強いんだろう。
頑張れそうな気がするし、みんなに喜んでもらえるような予感しかない。
「今からスタッフに整理券を配布してもらう。……いよいよだな、大翔」
「ああ。 尾形先輩、よろしく頼みました」
「よろしく頼まれた」
開店時間が迫っているので、わたしたちはバックヤードでその様子を伺わせてもらうことにした。
「大丈夫かな……大翔さん」
「大丈夫だよ、心配するな由紀乃」
「うん……」
ダメだ。緊張してお腹痛くなっちゃう……。
「はあ……ドキドキする」
いよいよ、その時はきたーーー。
「いらっしゃいませ! オガタ・カナデ、ただいま開店です!」
ついに朝九時半、お店がオープンした。 本来なら朝十時からの開店なのだが、今日はアップルパイの販売の日ということもあり、いつもより三十分早く開店した。