【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜

幸せを呼ぶアップルパイがもたらすもの



「申し訳ありません! アップルパイはただ今ので完売となりました!」
 
 二百個すべてのアップルパイが完売すると、店員さんが店内で完売のコールを出す。
 店内にいたお客様はみんな残念そうに「えっ!本当に!?」や「ウソー!食べたかったのにー!」や「ウソでしょー。二十分も待ったのにー!」などたくさんの声が聞こえきてきた。

 オガタ・カナデで販売されたスリーデイズのアップルパイは、開店から約四五分ほどで二百個すべてのアップルパイが完売するほどの人気で、その勢いが凄まじくメディアでも取り上げられた。

「大翔さん、もう完売だって……!」

「ああ、すごいな」 

 予想を遥かに超えるお客様の数に、わたしはつい大翔さんに抱き着いて、お互いの栄光を讃えあうかのようにお互いの温もりを感じて抱きしめあった。

「どうしよう……嬉しすぎて困っちゃう」

「いいことだろ? たくさん喜べばいい」

 大翔さんがそう言ってくれるから、わたしはつい「はい。すっごく嬉しいです」と微笑みしか出なかった。

「正直、売れなかったらどうしようかと思ったけど……本当に良かった」

「由紀乃が頑張って作ったアップルパイなんだ。丹精込めて作ったものには、きっとお客様は喜んでくれるに決まってるさ」

「うん……そうだよね」

 その日の夜、SNSを見ているとスリーデイズのアップルパイがなぜかトレンドに上がっていたことに、わたしたちはビックリした。
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