【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


「ね、ねえ、大翔さんっ!」

 わたしは洗面所で髪の毛を乾かしている大翔さんの元へ走り寄った。

「大翔さん、これ見てっ!」

 わたしは大翔さんに自分のスマホの画面を見せて「スリーデイズのアップルパイがね、SNSのトレンドに上がってるの!」と伝えた。  

「えっ!アップルパイが?」

 大翔さんはドライヤーの電源を切り、わたしのスマホの画面を見つめる。

「本当だ……トレンドになってる」
 
 大翔さんもそれを見て驚いている。

「これって、すごいことだよね!?」  

「ああ、もちろんすごいことだ」

 トレンドから検索すると、今日販売されたばかりのアップルパイの写真が載せられていた。 その写真の下に付いているハッシュタグに、わたしは思わず目がいった。

「大翔さん、ここ見て」

「ん?」
 
「ほら、ここ。ハッシュタグ見て!」

 そのハッシュタグの横には【幸せを呼ぶハートのアップルパイ】と書かれていた。

「幸せを呼ぶハートのアップルパイだって」

「幸せ?」

「うん。好きな人の誕生日にアップルパイを食べたら、付き合えることになったって書いてあるよ」

 他にも【彼氏がハートのアップルパイを買ってきてくれた。そしたらなんと、プロポーズされました!】など嬉しいご報告が書いてある。

「プロポーズだってえ!すごいねっ!」

「それはすごいな。……幸せのアップルパイか」

 やっぱりハート型にして良かったかも。
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