【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


「あのね、大翔さん」

「ん?」

「わたし、大翔さんにお願いがあるの」

 大翔さんはウォーターサーバーに水を汲みながら「お願い?」とわたしを見る。

「うん。 大翔さんが結婚する時にわたしにくれるって言ってくれたあの一億円のことなんだけどね」

「うん? それがどうした?」

 大翔さんはわたしの隣に座り、お水を飲む。

「その一億円の使い道、決まったら教えてくれって前に言ってたでしょ? 使い道、わたし決めたよ」

「そっか、決めたのか。……で、使い道は?」

 大翔さんは横目でわたしを見つめる。

「そのお金、スイーツ開発のために使いたい」

「え? 一億をスイーツ開発のために……使いたいのか?」

「うん。 もっと美味しいスイーツを作るために、そのお金でもっと美味しい食材とか、こだわった原料とかに使いたいなって思ってる」

 大翔さんは微笑ましい表情を浮かべると、「さすが俺の妻だな。 俺が選んだ妻は、やはり最高のスイーツを作ってくれそうだ」とわたしの頭を撫でる。

「だってわたし、スリーデイズのリーダーだもん。リーダーだからこそ、とことんいいものにこだわりたいって思ったの。……お客様が辛い時や苦しい時、悲しい時にも食べて笑顔になるような、そんなスイーツが作りたい」
 
 スリーデイズが手がけるスイーツは、世界一美味しいものだ。 誰にでも自慢出来るくらい、最高に美味しいスイーツを作れるとわかったから。
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