【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
お互いの利害の一致?
それから一週間後の午後13時頃、わたしはスリーデイズの本社の20階にあるスイーツ開発部に来ていた。
「今日からこちらで、スイーツ開発に携わることになりました、森原由紀乃と言います。 皆さん、どうぞよろしくお願いします」
スリーデイズの本社で、天野川さんが集めたスイーツ開発部の方に挨拶をした後、一斉に「よろしくお願いします」と返事が聞こえた。
「ああ、そうだ。みんなに伝えたいことがあるんだ」
「何でしょうか?」
「由紀乃と俺は、来週入籍することが決まっているんだ。 これからは天野川家の嫁として、みんなよろしく頼むよ」
天野川さんは、スイーツ開発部のみんなにそう伝えると、周りがざわつき始めた。
「おめでとうございます。お幸せに!」
「あ、ありがとうございます……」
なぜこんなことになったのか? それは遡ること一週間前のこと。
◇ ◇ ◇ ◇
「お前が俺の妻になってくれたら、俺は手伝ってくれる報酬として、一億を出すと約束しよう」
「いっ……い、一億っ!?」
「そうだ、一億出す。 だから俺の妻にならないか?」