【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


 お風呂から上がった大翔さんのために夕食を用意をする。 わたしも大翔さんと一緒に食べたいから、そのまま食べずに待っていた。

「いただきます」

「いただきます」

 今日の夕食はオムライスとコンソメスープにした。大翔さんはいつものように「うん、美味い」と美味しそうに食べてくれる。

「美味しい?」

「美味いよ」

「良かった」

 大翔さんはわたしに「由紀乃、キッチンカーに出店するスイーツ決めたのか?」と聞いてくるから、わたしは「うん、決めたよ。スリーデイズらしいスイーツになること、きっと間違いないよ」と答えて、コンソメスープを口にする。

「ところで、スイーツは何にしたんだ?」

 そう聞かれたので、わたしは「ん? ヒミツ」とだけ答えた。

「教えてくれないのか?」
 
「うん。完成したら、試食してね」

「わかった。気になるけど完成まで待っておくよ」

 大翔さんには完成した時に初めて試食してもらいたい。 そのためには、まだ秘密にしていたい。

「ごめんね」

「いや、楽しみが一つ増えたよ」

「そう?」

 大翔さんはいつもこうやって優しいから、期待に応えたいなと思う。 大翔さんの笑った顔が見たいし、やっぱり素直に頑張れる原動力になってる。

「由紀乃のことだから、何か考えがあるんだろ?」

「うん、まあね。でもまだ教えない」

「わかったわかった」

 大翔さんとこうやって笑い合うと、心も笑顔になる。
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