【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


「ティラミスにベリー、それに黒ごま……。全く違うジャンルのソースだな」

「はい。 三種類のこのソースは、パフェに合うように開発したものだから、このソースがスリーデイズの顔になるように考えました」

 プリンやフルーツの味を邪魔しないように、工夫して考えた渾身のソースは、わたしたちの自信作だ。このパフェとともに。

「まずはティラミスソースからお願いします」

「わかった」

 大翔さんはティラミスソースをパフェにかけ、一口口にする。

「……うん、ほろ苦なのにちゃんとコクがあって美味いな」

「ありがとうございます」

「甘いものが苦手な人にも、ぜひ食べてほしいソースになってると思うよ」

 ほろ苦のティラミスソースは、大翔さんからもお墨付きをもらえた。

「次は黒ごまソースをどうぞ」

「黒ごまの香りがすごいな。……一気に和の香りだな」

 この黒ごまソースには、わたしは特にこだわった。みたらし団子みたいにトロッとしたソースにしたくて、何度も試行錯誤を重ねてより時間をかけた。
 黒ごまをすり潰して香りを立たせから、ほんの少しの黒蜜とお砂糖などと一緒にミキサーにかけて、より黒ごまの香りを引き出すことに成功した。
 本当に【和の良さ】を感じられる絶品ソースになったと思う。

「どうですか、副社長……?」

 黒ごまソースを口にした大翔さんは、目を閉じそして口を開いた。

「これは、美味い。……美味い」
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