【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


 そんな話を持ち掛けられたわたしは、すぐには返答できなかった。
 しかしながら、これが【プロポーズ】と呼ばれるものであるということだけは理解した。

「あの、それって……。プロポーズって、ことですか?」

 と聞き返すと、彼はコーヒーを飲みながら「あ、まぁ……そういうことになるか」と答えた。

「ちょ、ちょっと待ってください。わたしたちまだ出会って間もないのに……その、結婚するんですか?」

 いや、よく分からない。なぜそれで結婚になるのか……。
 そしてわたしは、さっきのカフェでの彼の会話を思い出した。

「俺はお互いの利害が一致すれば、結婚してもいいと思っている」

「えぇ……」

 お互いの利害って……。それもよく分からない。

「あ、あの……。南條ゆずさんのことは、いいんですか……?」

 わたしはさっきの会話のことが気になってしまい、思わずそう口に出してしまった。

「……ゆず?」

「いや、あの……。さっきのカフェでそう話してたの、聞こえてしまってて……」

 言い訳にはなってしまうが、もし彼と結婚するとなると、幼なじみ?である南條ゆずのことが妙に気になる。
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