【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
スイーツを愛する者と愛される者
「よし、副社長にもOKもらえたし、今回の試作はこれで行きましょう」
「はい」
イベント用のスイーツも完成し一段落着いたところで、わたしはイベントの打ち合わせのためオガタ・カナデさんのお店に行くことになっていた。
「すみません、わたし打ち合わせに行ってきますので後はお願いします」
「任せて、リーダー。気を付けてね」
「はい。 では行ってきます」
わたしはタクシーに乗り、オガタ・カナデさんのお店へと向かった。
今日はオガタ・カナデさんとの打ち合わせということもあり、少し緊張している。 でもイベントのスイーツも完成しているので、念の為オガタ・カナデさんにも試食をお願いすることになっている。
「大丈夫かな……」
なんだか心配だ。無事にイベントがうまく行くといいんだけど……。
「お疲れ様です」
タクシーを降りてお店に入っていくと、何人かのお客さんがアップルパイを買っていた。
わたしはアップルパイを購入しているその人の顔を見た時、ビックリしてしまった。 なにせそのアップルパイを買っていたのは、あの天才ピアニストの南條ゆずだったからだ。
南條ゆず。 彼女は若き天才ピアニストの一人で、数々のコンクールで金賞を取るなどしていて、今特にメディアでは話題の人だ。
ストレートのきれいな黒髪がよく似合い、かわいらしいルックスで、ピアニスト界でも有名な美女として度々取材などを受けている人だ。