【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


「ああ。……ゆずのことは関係ないからな」

 か、関係ないって……。そんなことないような気もするけど……。

「でも、天野川さん……南條ゆずと結婚するんですよね……?」

「ゆずとは結婚しない。 それは父親が勝手に言ってるだけだ」

 わたしのその問いかけに、彼はそう答えたのだった。

「そ、そうですか……」

「どうだ? 一億で俺と結婚、してみないか?」

 そう言われると、恋愛に疎いわたしは結婚なんて絶対向いてないと思う。
 男性との経験もあまりないし、その、あっちの方だってあまり上手じゃないし……。
 それに今まで一人で過ごしたきたわたしにとって、結婚なんて未知の世界だ。恋愛から遠ざかっているわたしにとって、結婚なんてものはハードルが高すぎる。

「あの……天野川さん」

「なんだ?」

「わたし今まで、まともな恋愛してこなかったので……恋の仕方を忘れています。恋愛には臆病なので、男性との経験もあまりありません。 それに天野川さんには、わたしみたいな平凡なOLとの結婚なんて似合いませんよ。……なのでごめんなさい。わたし、あなたとの結婚は出来ません」
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