【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


 わたしたちも早速イベントの準備に取り掛かった。

「由紀乃、大丈夫か? 緊張してるのか?」
 
 イベントの時間が近づくに連れて、わたしの緊張もマックスになってきた。 ドキドキして、心臓がうるさい。

「どうしよう……わたし、大丈夫かな」

「大丈夫だよ。俺もいるし、心配ないだろ?」

 わたしは大翔さんの言葉をもらって「……うん」と頷いた。

「由紀乃、一緒に尾形先輩に挨拶に行こう」

「うん」

 わたしたちは先にイベント会場に来ていた尾形さんの元へと歩き出した。

「尾形先輩」

「尾形さん」

 尾形さんに声をかけると、尾形さんはわたしたちの方に振り返り「おお、二人とも。来てたんだね」と声をかけてくれた。

「尾形さん、今日から二日間よろしくお願いします」

「こちらこそだよ。イベント、一緒に大成功させようね?」

「はい。頑張りましょう」

「じゃあ、また後でね」

 尾形さんは打ち合わせがあるからと、行ってしまった。

「由紀乃、今日はリラックスして。俺が呼び込むをするから」

「えっ!大翔さんがやるの!?」

 大翔さんが呼び込みを!? いや、ある意味目立つような気が……!

「なんだ、不満か?」

「違うの!そうじゃなくて! 大翔さんは普通に業界では有名人なんだよ? ここで呼び込みなんてしたら、目立つじゃない」

 わたしがそう言ったら、大翔さんは「いや、目立つに越したことはないだろ」と返してきた。
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