【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
堂々としてればいいと言われても、わからない。
「そう、堂々と。由紀乃さんは奥さんなんだから」
「はい。ありがとうございます」
そう、わたしは副社長の妻だ。堂々としないといけない日もある。
「由紀乃さん、ティラミスと黒ごま入ったよ!」
「ありがとうございます!」
パフェを食べ終えた女の子たちから、「すごく美味しかったです」と言葉をもらえた時は、とても嬉しかった。
別の女の子たちからは、「アップルパイ食べました!すっごく美味しかったです!」という声をもらえたりして、アップルパイを食べてくれた人たちの声も聞けたことも嬉しかった。
「パフェ、好評で良かったですね、副社長」
少しお客さんが落ち着いた頃、わたしは大翔さんの隣に並んだ。
「ん? ああ、良かったな。みんな美味しいって食べてたな」
「うん。 さっきね、アップルパイを食べた女の子たちが来てくれてね、美味しかったって言ってくれたの」
「本当か? 良かったな、由紀乃」
大翔さんは嬉しそうに微笑んでくれる。
「うん、良かった。 パフェも美味しいって言ってくれる人がたくさんいて、なんか感激しちゃった」
「そっか。 でもそれは、由紀乃の努力だろ?」
「え?」
「由紀乃がみんなで力を合わせて成功させたから、の栄光だろ?」
大翔さんがそう言ってくれるから、わたしは「うん。頑張って良かったね」と微笑んだ。
「さ、まだまだこれからだ。頑張ろう」
「うん」