【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
「ゆずか? まるで別人だな」
大翔さんとゆずさんは幼なじみなので、二人が話していてもなんの不思議はないが、二人が幼なじみだと知らない人たちからしたら、大翔さんも有名人なのでここに有名人が三人いるということになる。
「ずいぶんキレイになったな」
「あら?嬉しいわ。 大翔もますますイケメンになったんじゃない?」
「そりゃどうも」
この二人の会話は不思議と心地よく聞こえてしまう。
「そうそう。大翔、結婚したんでしょ?」
「ああ」
「今度奥さん紹介してよ」
「紹介? まあいいけど。そこにいるし」
ゆずさんから紹介してくれと言われた大翔さんは、わたしの姿を見て「由紀乃、こっちに来い」と手招きした。
「えっ!?」
「早く来い」
大翔さんに呼ばれたので、わたしは二人の元へと歩み寄る。
「ゆず、俺の妻の由紀乃だ」
大翔さんはわたしをゆずさんに「妻だ」と紹介してくれた。
「初めまして、南條ゆずです。 一応、大翔の幼なじみなの」
ゆずさんに「よろしくね」と手を出され、わたしも「初めまして……天野川由紀乃と申します。よろしくお願いします」とその手を握った。
「あの、いつもテレビで拝見しています。……すごくおキレイですね」
「そうかしら? ありがとう。嬉しいわ」
ゆずさんは「由紀乃さんも、とてもかわいらしい方ね」と微笑んでいた。
「ありがとうございます」
ゆずさん、テレビで見るより何倍もキレイだな。