【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
「由紀乃さん、大翔に寂しい思いさせられてない?大丈夫?」
「えっ?」
ゆずさんはわたしの手を取ると、「もし大翔にいじめられたら、いつでもわたしに連絡してきてね。いつでも匿ってあげるから」と笑顔を向ける。
「はい……?」
「おい、ゆず。由紀乃に変なこと言うな」
大翔さんはすかさずゆずさんにそう言っていたが、「まさか大翔がこんなにかわいい子と結婚するなんてね。……大翔、どんな手を使ったの?」なんて大翔さんに聞いている。
「えっ」
ど、どんな手って……。いやでも、そんなこと言えない。
一億円でスイーツ開発と引き換えに買われたなんて、そんなことを言える訳がない……!
「どんな手もなにも、何もしてない」
「何も?……アンタ、まさか姑息なマネしてないでしょうね?」
ゆずさんにそう聞かれた大翔さんは「姑息なマネなんてする訳ないだろうが」と答えている。
「本当に? 大翔、由紀乃さんのこと傷付けたらダメだからね?」
「俺は由紀乃のこと愛してるんだ。傷付けたりなんてしない」
ひ、大翔さん……。今のって告白だよね?
「さすが副社長ね。愛の告白もストレートね」
「俺は素直な気持ちを伝えているだけだ」
なんかわかんないけど……。
「ひ、大翔さん……」
「どうした?由紀乃」
「あの……は、恥ずかしい……です」
こんな大勢の人前で「愛してる」などと言われると、恥ずかしくて顔を伏せてしまいそうになる。