【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


「由紀乃さん、大翔に寂しい思いさせられてない?大丈夫?」

「えっ?」

 ゆずさんはわたしの手を取ると、「もし大翔にいじめられたら、いつでもわたしに連絡してきてね。いつでも匿ってあげるから」と笑顔を向ける。

「はい……?」

「おい、ゆず。由紀乃に変なこと言うな」

 大翔さんはすかさずゆずさんにそう言っていたが、「まさか大翔がこんなにかわいい子と結婚するなんてね。……大翔、どんな手を使ったの?」なんて大翔さんに聞いている。

「えっ」

 ど、どんな手って……。いやでも、そんなこと言えない。
 一億円でスイーツ開発と引き換えに買われたなんて、そんなことを言える訳がない……!

「どんな手もなにも、何もしてない」

「何も?……アンタ、まさか姑息なマネしてないでしょうね?」

 ゆずさんにそう聞かれた大翔さんは「姑息なマネなんてする訳ないだろうが」と答えている。

「本当に? 大翔、由紀乃さんのこと傷付けたらダメだからね?」

「俺は由紀乃のこと愛してるんだ。傷付けたりなんてしない」

 ひ、大翔さん……。今のって告白だよね?

「さすが副社長ね。愛の告白もストレートね」

「俺は素直な気持ちを伝えているだけだ」

 なんかわかんないけど……。

「ひ、大翔さん……」

「どうした?由紀乃」
 
「あの……は、恥ずかしい……です」

 こんな大勢の人前で「愛してる」などと言われると、恥ずかしくて顔を伏せてしまいそうになる。
< 171 / 198 >

この作品をシェア

pagetop