【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


 でもこういうやりとりを見ていると、やっぱり二人は幼なじみなんだと感じる。
 幼なじみ特有のオーラみたいなのを感じる。

「やっぱりわたし、アンタと結婚しなくて良かったわ」

「それはこちらのセリフだ」

 いつもこんな感じ……なのかな?この二人。

「アンタみたいな男をもらってくれる奥さまがいて、本当に良かったわね」

「ああ。俺はとにかく幸せだ」

「アンタの口から幸せ?……いや、吐き気がする」

「おい、失礼だな」

 やっぱりこの二人、幼なじみなんだな。ケンカ越しになるけど、なんだかんだこのやりとりを見ていると面白いと感じる。

「お二人って、仲がいいんですね」

 わたしがそう言ったら、二人は「仲良くなんてない」や「コイツと仲良し? いやいや、ありえない。相性どう考えても最悪でしょ」と口にした。

「その言葉、そっくりそのまま返してやる」

「はあ? ムカつくんだけど」

 テレビで見ているナチュラルな南條ゆずよりも、こっちの方が南條ゆずの本当の姿なのかも。
 テレビで見ている南條ゆずは、きっと自然体でキレイな南條ゆずなんだろうな。
 だけど今ここにいる南條ゆずは、ピアニストの南條ゆずではなく、大翔さんの幼なじみの南條ゆずであるように見える。

「由紀乃さん、大翔はこんなんだけど本当はイイヤツなの。だからよろしくね」

 は、はい……?

「おい、由紀乃を困らせるな」

「何よ。よろしくってお願いしてるだけよ」
< 173 / 198 >

この作品をシェア

pagetop