【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
大翔さんはゆずさんに向かって「そういうのを余計なお世話と言うんだ」と口にしている。
「あら、幼なじみとして心配してあげてるのよ?」
「余計なお世話だ。俺たちは大丈夫だ」
「あらそう。 由紀乃さん、これからも大翔のそばにいてあげてね?」
わたしはゆずさんに視線を向けられたので「もちろんです。 妻としてしっかり、支えていきます」とゆずさんに伝えた。
「由紀乃さんは頼もしいわ! 大翔、いい奥さんを捕まえたわね。絶対に逃がしたりしちゃダメよ」
「わかってる。手放す訳がないだろ」
「さすがスリーデイズの副社長!その意気よ」
そんな二人のやりとりを見ていたわたしは、ゆずさんの本当の姿を見た気がしていた。
わたしたちが知っているゆずさんじゃなくて、また別の顔のゆずさんがいることに驚いた。
ゆずさんって、あんな顔もするんだ……。
大翔さんと話している時のゆずさんは、とても明るくて楽しそうだった。
やっぱり大翔さんとは心が通い合えるのかな?
「そうそう。 わたし実は半年後にね、日本でコンサートを開くことが決まったの」
「えっ!それはおめでとうございます!」
ゆずさんのコンサートチケットは、きっと即日完売だろうな。
「ありがとう。 今度チケット二人の分送るから、ぜひ観に来てね」
「はい。ありがとうございます」
「まあそこまで言うなら、仕方ないから行ってやるよ」
「あら、待ってるわ。 じゃあまたね」
ゆずさんはわたしたちに手を降ると、会場を後にしてしまった。
* * *