【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


「そうそう。 一つ相談なんだけどな」

「はい?」

「アップルパイが人気すぎて、買えないって話がやたらと来てるんだけどさ。……どうかな、もう少し販売数って増やすことは可能か?」

 大翔さんはそれを聞いた時、一瞬だけ悩むような顔をしていたが、「どのくらい増やせばいいですか?」とすぐに尾形さんに問いかける。

「今二百個だから、あと百は追加出来ないか?」

「あと百ですか。……後ほどまた、相談させてもらっていいですか?」

「ああ、よろしく頼むよ。 じゃあまた連絡するよ」

 オガタ・カナデさんはわたしたちの前から歩いていってしまった。
 
「大翔さん、アップルパイ、好調で良かったですね」

「そうだな。……後百個追加、いけるか?」

「百個の追加か……。後で相談してみるね」

 アップルパイの人気がすごすぎて、数を増やしてほしいというお願いをされたのは、正直に言うと嬉しい気持ちになる。
 これだけの人にスリーデイズを知ってもらえたら充分だけど、もっともっと知ってほしい。
 大翔さんが実現したかったスイーツという未来を、わたしたちに託してくれたのだから、精一杯その未来に繋いでいきたい。

「大翔さん、一つ考えてたことがあるんだけど?」

「ん? なんだ?」

「イベント用のパフェ……あれ、冷凍で販売出来ないかな?」

「あれを冷凍で?」

「うん。パフェの人気が思ったよりすごかったから、冷凍スイーツみたいな感じで販売出来たらいいなって思って」
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