【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


 大翔さんは「だろ? アップルパイ、今後はもっと進化させた方がいいかもな」とわたしに言ってくれた。

「うん、そうだね。 大事だもんね、進化」

「そうだな」

 わたしたちが追い求めているスイーツは、思っていたよりも奥の深いものだった。 
 スイーツってこんなに奥深いものだったんだ……と思うと、色々と考えるのが楽しい。

「あ、そういえばね」

「ん?」

「うちの母がね、アップルパイ美味しかったって言ってくれたの。 わざわざ、並んで買ってくれたんだって」

「並んで?……そうか」

 母のアップルパイが元になって生まれたのが、今回のスリーデイズのアップルパイだ。
 このアップルパイが完成したからこそ、スリーデイズという名前が有名になれたのは事実だ。

「母があのアップルパイを食べた時、世界一美味しいアップルパイだって言ってくれたの、すごく嬉しかったんだ。……わたしの思い出のアップルパイが、あんなに美味しいスイーツになったことは、わたしの誇りだと思ってる」

「由紀乃の頑張りのおかげだな。 由紀乃がいてくれなかったら、俺はここまで来れなかったよ」

「……大翔さんのおかげだよ。ありがとう」

 大翔さんとわたしが出会ったことには、きっと意味があるんじゃないかと思った。
 わたしたちの出会いは、きっと運命だと思ってる。 大翔さんがいてくれるから、わたしは一生懸命スイーツを作ることが出来ている。 
 一人じゃ絶対に、成し得ることは出来なかった。
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