【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


 わたしは大翔さんの言葉に「うん」と相槌を打つ。

「進化していくためには、色々な考えや意見を取り入れていく必要がある。 一人ではなく、働くみんなの意見を上手く取り入れて、インプットしたものをアウトプットしていくことで、俺たちは変わると思うんだ」
  
 わたしは大翔さんの話に黙って耳を傾ける。

「そのために俺は、社員全員の意見を取り入れていきたいと思っている」

「……はい」
  
 大翔さんの真剣な眼差しに、わたしは大翔さんの本気が見えた気がした。

「リーダーである由紀乃の意見はもちろん、由紀乃たちが一生懸命時間を作って意見を出し合って、話し合いを繰り返して出た答えがあるなら、俺はそれを受け入れていきたいと考えている」

 大翔さんのその真剣な目に、わたしはなぜか泣きそうになっていた。

「それは由紀乃がちゃんとリーダーとして、みんなをまとめてくれている証だな。……ありがとう、スリーデイズを引っ張ってくれて。本当にいつも由紀乃には助けられてばかりで、俺はなんだか申し訳ないよ」
  
「そんなことない。大翔さんがわたしたちの意見を聞いてくれて、前向きにやってみようって言ってくれるおかげで、わたしたちはこうやって仕事が出来てると思ってる」
 
 わたしたちが一生懸命生み出したスイーツは、人気が衰えることはなく、メディアにも取り上げられるようにもなってきた。
 あの人気アイドルやモデルなど、数多くの芸能人も食べてくれたんだ、あのアップルパイを。
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