【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


「そのアイデア、素敵だね」

「カップルや友人で少人数で食べるなら、ハーフカットくらいがちょうどいいだろ? ワンホールじゃ多くて食べきれなくなるだろうしな」

 さすが大翔さん……。やっぱりスリーデイズのことを誰よりも考えているのは、大翔さんだ。
 大翔さんが副社長として、一生懸命いいスイーツを作りたいという想いが重なった結果が、実ってきているんだ。

「まあ由紀乃なら、ワンホール一人ではぺろっと食べちゃうんだろうけどな」

「えっ! そ、そんなことないもん!」

「本当か?俺の分が無くなりそうな予感しかしないな」

「ひ、ひどい……!」

 でも時々こうやって冗談を言って笑わせてくれたりするのも、大翔さんのギャップではある。
 わたしはそんな大翔さんのことが、愛おしくて仕方ないんだ。……これからもずっと、愛していきたい。 

「由紀乃」

「ん……?」

 大翔さんはわたしに「これからも期待してる」と真剣な眼差しを向けてくれる。

「うん、頑張るね。 まずは三百個の完売、目指さないとね?」

「ああ、そうだな」

「アップルパイのお取り寄せ販売については、ネットショッピングを立ち上げてからになるけど、ネットなら小野さんが詳しいから、サイト作れるかどうか頼んでみるね」

「よろしく頼む」

 わたしは「じゃあ、失礼します。副社長」と副社長室を出た。

「お取り寄せか……」

 なんか、色々とまた忙しくなりそうだな……。
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