【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


「やっぱり、スイーツ部門立ち上げて良かったな」

「え?」
  
 わたしは大翔さんを見つめる。

「いや、スリーデイズでスイーツ部門をやりたいってなった時すごい反対されたんだよ、社長に。そんなもの上手くいく訳が無いって言われたし」

「え、そうなの……?」

「ああ。スイーツ開発なんて無謀なことをしても利益が取れないだとか、色んなこと言われたんだよ。 でも俺はどうしても諦めきれなくてさ、だから絶対に成功して社長を見返してやろうと思ったんだ」

 大翔さんがそんな話を真剣にしてくれるから、わたしはただ黙って大翔さんの話を聞いていた。

「スイーツは常にトレンドを求められる商品が多い。そんなトレンドを掴むスイーツがお前に作れるのかって社長から言われた時、本当は作れる自信なんてなかったよ。……だけどそんな時、俺は由紀乃と出会った」
 
「大翔さん……」

「由紀乃と出会えたことで、俺の人生は大きく変わった。由紀乃がスリーデイズに来てくれたおかげで、いいスイーツがたくさん開発出来て、たくさんの人から喜んでもらえたという事実が、ずっとここにある。 それってさ、本当にすごいことだと思うんだ」

 大翔さんの言葉に、わたしはなんだかしみじみしてしまった。

「大翔さんが今までやってきたことは、全部ムダなことなんて一つもなかったね。……何もムダなんかじゃなかった。 大翔さんがスイーツ開発のために業者さんに頭を下げる姿も、わたしは見たこともあるしね」
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